リピーティングの効果・注意点から正しいやり方とおすすめの教材まで|英語コーチが徹底解説

悩む人

リピーティング、どれくらいの英語レベルに到達したらやる学習なんだろう…

ぺいさん

結論、シャドーイングがしっかりとできるようになったらリピーティングを学習しよう!

『リピーティングが良いらしいけど、やり方がいまいち分からない。』

このような悩みを解決します。

この記事でわかること

  • リピーティングがリスニングに効果的な理由
  • 実践的なリピーティングの具体的やり方
  • レベル別のリピーティングおすすめ教材

特にリピーティングのやり方については、この記事の通りにおこなえばリスニング力が伸びるように余すところなく具体的に書いています。

ぜひご参考ください。

目次

リピーティングとは

リピーティングとは、【一文ごとまたは意味のまとまりごとに音声を止めて、その音声を真似て発音する学習】で、英文を覚えるための学習方法です。

オーバーラッピングシャドーイングは主にリスニング力を向上させるための学習ですが、リピーティングはリスニング力とスピーキング力どちらも上げる効果があります。

リピーティングはシャドーイングの後にやることでより高い効果を発揮します。

学習難易度


↑オーバーラッピング
|シャドーイング
↓リピーティング

では、リピーティングとシャドーイングとの違いは何なのでしょうか。

シャドーイングとの違い

よく『シャドーイングはスピーキング力を伸ばすためにやる学習』と勘違いしている方がいますが、違います。

シャドーイングの目的はリスニング力の向上。

結果的にスピーキング力が上がることもありますが、メイン目的はあくまでリスニングです。

リピーティングシャドーイング
学習の目的リスニング&
スピーキング
リスニング
スクリプトは
見るか
適宜見ない
発音の
タイミング
一文ごと2−3語あと

参考:シャドーイングの効果や知っておきたい注意点。正しいやり方とおすすめの教材も|英語コーチが徹底解説

一方、リピーティングはリスニング力とスピーキング力どちらも上げることを目的とした学習。

学習の目的を知っておくと、自分が今どの能力を伸ばしたくてそのために何をすれば良いのか分かります。

学習の目的を常に意識しましょう。

リピーティングの効果

リピーティングの効果は前述したようにリスニング力とスピーキング力の向上です。

それぞれ具体的にどのような効果があるのか解説します。

シャドーイングのその先。リスニングの短期記憶を鍛える

リスニングには音声知覚と意味理解のプロセスがあります。

リスニングができない初期段階では、下の左図になってしまっています。

「単語を認識する」や「内容を理解する」に頭を使いすぎて、理解した内容を覚えておく「短期記憶」に余裕がない。

その状態を改善し、右の理想的な状態に近づけていくための学習がシャドーイングです。

シャドーイングで『音声知覚』と『意味理解』を鍛える

そしてリピーティングは、右の理想的な状態をより理想に近づけるための学習。

というのも、シャドーイングの目的は「音声知覚」と「意味理解」のみ。

理想の状態に近づけたら、増えた「短期記憶」のキャパシティを有効に使うための学習が必要になり、それがリピーティングです。

ぺいさん

なので、シャドーイングで苦戦する人はまずそっちからやろう!

リピーティングは『音声を一文聞いたら止めて、真似して発音する』を繰り返すことで、短期記憶が鍛えられます。

すると、たとえばTOEIC L&RテストならPart3,4の音声を聞きながら解答する余裕ができたり、英会話なら相手の話を聞きながら自分の意見を用意する余裕が生まれます。

スピーキングに使える語彙や構文が長期記憶に保存される

リピーティングをしていくことで、つかえる単語の数が増えたり構文の幅が広がります。

繰り返しおなじ文章を発音することで「理解できる語句や文章」から「会話のなかで自分が使える語句や文章」へと変わり、短期記憶から長期記憶に保存されていきます。

英語が身のまわりで日常的に話されていない「外国語学習環境」では、英語のインプットを継続的に受けるだけでは、…… アウトプット(スピーキング)能力がつくとは考えにくいことがわかると思います。そうすると、インプットをアウトプットにつなぐリハーサルである …… 繰り返し練習(反復プライミング)が、…… 必須なのです。

『外国語を話せるようになるしくみ シャドーイングが言語習得を促進するメカニズム』より引用

つまり、リピーティングはレシテーション(暗唱/暗誦)につながる学習とも言えます。

リピーティングの注意点

リピーティングの効果を理解できたところで、続いては注意点を説明していきます。

非常に重要なので、リピーティングの学習を行うときは必ず確認してください。

シャドーイングをしてから行う

リピーティングは、シャドーイングをしてから行わないと学習効果を発揮できません。

それどころか、英語力の向上に悪影響がでる可能性さえあります。

なぜかというと、シャドーイングを終えていないと「日本語発音」でリピーティングをしてしまう可能性が非常に高いから。

ぺいさん

日本語発音をしていると、学習の効果が全くないので要注意!

冒頭でもお伝えしたように、リピーティングの目的は使える単語や構文を覚えること。

間違った「日本語発音」で英文を覚えてしまうと、その発音を脳が認識するのでネイティブの音声を正しく聞き取れません。

リピーティングは、必ずシャドーイングを行ってから学習しましょう。

初級者には向かない

リピーティングは英文を覚えることが目的なので、初級者には向きません。

初級者の方は、中学英単語と中学英文法をまずは完璧に覚えた上で、精読とオーバーラッピングを行いましょう。

教材レベルは「i-1」を選ぶ

「i-1」とは、自分の英語力を「i」とした時に、少し低いレベルを指します。

難しすぎてもダメ、簡単すぎてもダメということ。

……かなりやさしめの素材、すなわち自分の学力をiとしてそれよりも低い「i-1」「i-2」くらいの素材を選ぶことがポイントです。その際、主として、
①テキストの英文の理解のしやすさ
②モデル音声のスピード
という2つの要素があります。……素材選びでは、決して背伸びをしないこと、これが重要です。

『外国語を離せるようになるしくみ シャドーイングが言語習得を促進するメカニズム』より引用

上の引用文で言及されている「②モデル音声のスピード」については、音声速度調整のアプリやパソコン搭載のソフトなどがあるので気にする必要はありません。

大事なのは「①テキストの英文の理解のしやすさ」。

具体的には、100語のうち、調べないと分からない語句や文法が2語以内におさまっている英文が教材として適しています。

スクリプトは極力見ない

リピーティングは聞いた英文音声をいったん短期記憶に留めて、思い出しながら発音します。

そうすることで聞いている時の短期記憶(リスニング力の向上)と、自分が話す時に引き出せる語句や構文知識の定着(スピーキング力の向上)につながります。

つまり、スクリプトを見ながら発音すると学習効果がなく、単なる音読トレーニングになってしまうということ。

スクリプトは極力見ずに学習しましょう。

リピーティングのやり方

リピーティングを正しく学習するためには、以下のSTEPを順番にこなしていきましょう。

STEP
教材はシャドーイングと同じものを使う
STEP
まずはシャドーイングからおこなう
STEP
1文ごとに音声をとめてスクリプトをみずに発音する
STEP
複数の文でSTEP2とおなじように発音する
STEP
レシテーション(暗唱/暗誦)にうつる

それぞれ詳しく説明していきます。

STEP1:教材はシャドーイングと同じものを使う

おすすめの教材は【リピーティングにおすすめの教材】で紹介しますが、基本的にはシャドーイングで取り組んだ音声をそのままリピーティング教材として使用しましょう。

前述しているように、リピーティングはシャドーイングの後に行う学習だからです。

STEP2:まずはシャドーイングから行う

リピーティングの前にシャドーイング。

以下の記事に具体的な学習STEPを書いているので参考にしてください。

参考:シャドーイングの効果や知っておきたい注意点。正しいやり方とおすすめの教材も|英語コーチが徹底解説

STEP3:一文ごとに音声を止めて同じ文章を発音する

シャドーイングが終わったらリピーティングです。

一文ごとに英語音声をいったん止めて、思い出しながら同じ文章を発音しましょう。

この時に、スクリプトは極力みてはいけません。

もし一文をそのまま言えずに単語の抜けや言い間違いがあれば、同じ文章を完璧に言えるようになるまで「聞く→発音する」を繰り返してください。

STEP4:二文ごとにSTEP2と同じことをやる

一文ごとのリピーティンが終わったら、次は二文ごとのリピーティングにチャレンジしてみましょう。

やり方はSTEP2と同じです。

STEP5:レシテーション (暗唱/暗誦)にうつる

二文ごとのリピーティングが終わったら、レシテーション (暗唱/暗誦)学習に移りましょう。

参考:レシテーション(暗唱)の効果・やり方・おすすめの教材|英語コーチが徹底解説

リピーティングにおすすめの教材

おすすめの教材を選ぶ基準は

  1. テキストの英文の理解のしやすさ
  2. モデル音声のスピード

の2点です。

ただし前述したように「モデル音声のスピード」はアプリやパソコン搭載のソフトで変えられるので、「テキストの英文の理解のしやすさ」がポイント。

具体的には、100語のうち分からない単語や文法が多くても2つまでの英文素材を選びましょう。

また、個人的には音の変化が随所にあるかも教材の重要な選定基準にしています。

というのも、日本人がリスニングできない場合、多くは音の変化を習得していないことに原因があるから。

その点を踏まえておすすめの教材を紹介していきます。

おすすめ教材:WEBでやりたい場合

VOA Learning English

アメリカ合衆国政府が運営する国営放送「VOA:Voice of America」が、英語学習者のために作ったサイト。

レベルがBeginning〜Advancedまで細かく分かれていたり、実際の会話シチュエーションを想定した英語を学べるリアルさが学習意欲を掻きたてます。

日本語訳がない点は少し残念ですが、生の英語を学べるのでおすすめです。

>>公式サイト:VOA Learning English

BBC Learning English

イギリスのラジオ・テレビを一括運営する公共放送局のBBCが運営する英語学習サイト。VOAのイギリス版です。

こちらも学習者のレベルに合わせてカリキュラムが細かく分かれており、初級者の日常会話から上級者ではニュースのレビューまでと幅広い分野で英語を学べます。

日本語訳がないのでVOAと同じく残念ですが、イギリス英語を学びたい方はぜひ活用しましょう。

>>公式サイト:BBC Learning English

TED TALKS

毎年大規模な世界的講演会「TED Conference」を運営する「TED」が運営するサイト。

各専門分野の著名人がスピーチをする動画が、カテゴリ別や人気別に表示されています。

パソコンからアクセスすると0.5〜2倍速まで速度が調整できたり、音声を聞きながらスクリプトの確認をすることができます。

スクリプトをある単語をクリックすると、音声がそこから始まるので繰り返し学習にも向いています。

>>公式サイト:TED TALKS

おすすめ教材:紙のテキストでやりたい場合

TOEIC 公式問題集

TOEIC公式問題集でリピーティングする場合は、Part3,4の音声を使いましょう。

1音声あたりの時間が30秒〜60秒とちょうど良く、スクリプト(英文と日本語訳)とCDもついているのでやりやすいです。

ただ速度調整機能はないので、パソコンでやる方はMacであれば『QuickTime Player 7』、WIndowsであれば『windows media player』を使いましょう。

決定版 英語シャドーイング【改訂新版】

言語学者の門田修平氏が著者の教材。

タイトルに「シャドーイング」と書いてありますが、リピーティング教材としても使えます。

Stage1−3でレベル分けされており、Stage1では『温泉について』や『図書館で』などの日常会話をシーン別で学べ、Stage2・3では先ほど紹介した『VOA』が出てきたり、オバマ前大統領のスピーチが教材になっていたりとビジネス色が強くなっていきます。

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